2015年 02月 07日
温かく ほろ苦く 人生は続く
「コーヒーをめぐる冒険」というドイツ映画を観ました。
脚本と監督はヤン・オーレ・ゲルスター。ジャームッシュの再来とか言われる人です。
今回は 原題よりも邦題の方がいいな と思いました。
アメリカ向けには「ベルリンのコーヒー」というタイトルがついています。
これも納得。なぜなら映画のもうひとつの主役はベルリンの街そのものだからです。
「ベルリン天使の街」もそうでしたが、ドイツ人の
かつて分断されていたこの街に対するさまざまな「想い」を感じます。
ドイツという国自体の成り立ちがそうさせるんでしょうか。
大学に進学したものの、「何か違う」と漠然とした思いを抱く青年ニコ。
大学は中退・・・したにもかかわらず、親には内緒で
仕送りだけはしてもらっていました。
ところがこの日は 朝から次から次へとうまくいかない事が続きます。
「(なんとかラテとかいうんじゃなくて)普通のブラックコーヒーを一杯飲みたい」
そんな願いすら なぜかかなわず
出てくる人は変な人 怖い人 濃すぎる人・・・・
星の王子様の物語のように
いろいろな登場人物が さまざまな人生の不条理を体現します。
みんな何かしらコンプレックスを持ち、トラウマから抜け出せず苦しみ、
差別意識を隠し、傲慢さに自分を見失っています。
さあ ニコはこのとんでもない一日を乗り切れるのか?
モノクロの画面は、まるでタイムマシンのようなはたらきをして
見る者を70年代へ あるいは1938年・狂気の「クリスタル・ナイト」の時代へ引き戻します。
映画好きならにんまりする音楽や小ネタもちりばめられています。
友人宅のおばあちゃんにうながされ、マッサージチェアに身を沈めるニコ。
流れる音楽は「惑星ソラリス」のサントラ。(クルーニー兄貴のリメイク版ではありませんよ)
文無しのニコが駅へ向かうシーンには 一面の麦畑。
サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」の世界に出逢えるワンシーンです。
ニコが最後に出逢う老人の存在がとても大きいのですが・・・
看護師が教えてくれたファーストネームはフリードリッヒ。
これはかつてドイツを東西に隔てていた場所の大通りの名前。
コメディ部門のコーナーに並んでいた作品ですが
ー確かに所々にクスッと笑えるシーンはありますがー
店主はどうしてもコメディとは思えずじまいでした。
やっぱりハリウッド映画に「毒されて」いるせいでしょうか。
ラストシーンでやっとニコはコーヒーを飲みます。
コーヒーという飲み物は「飲みたい」と思ったときに飲むと
本当に美味しい飲み物です。
飲みたくないな というとき無理に飲むとたいてい胃が悪くなります。
人生も そうやってリセットしながら立ち直っていけばいいんじゃない?
たちのぼるあたたかいコーヒーの湯気は
そう語りかけているようでした。
さて
苦いコーヒーには甘いもの。
こちらはドイツではなくてフランス人の大好きなビスケット“LU”の
おなじみのバスケット型の缶とお皿です。
とても状態の良いもので、シリアルナンバーのシールつき。
(撮影用に蓋につけましたがのりが劣化しているので外れています)
本体21.7×13.2センチ 高さ11センチ 持ち手の高さ 9.5センチ
お皿の直径は20.2センチ 深さのあるお皿で高さが3.5センチ
貫入に添った染まりが出はじめていますが、ヒビやカケはありません。
せっかくなのでセットでどうぞ。
★LUのセット:ご売約
Commented
at 2015-02-07 22:04
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by ruriiro_ameri
| 2015-02-07 22:00
| 異国の古物
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Comments(1)