2014年 09月 19日
推理
先日の顔と手足だけのイコンもミステリアスでしたが
毎晩店主が眺めては どうなんだろうなぁ 思う絵がこれです。
(ベッドの横に置いてあるので必ず寝る前に見てしまう)
ぱっと目に飛び込んでくるのは、修道僧のような緑がかった青い衣。
二人の悲しげな表情の天使たち・・・
でも 次の瞬間 あれ? と思うのが「黒い翼」です。
しかもこの翼、羽根ではないように見えます。
まるでコウモリの翼のようにさえ見えます。
さらによく目をこらして見ると
この二人の頭の部分。
右の天使には真珠の王冠が
左の天使にはなんといばらの冠らしき物が・・・
まず考えられるのは
この画家が何か特別な意図を持って
イエスとマリアの象徴として二種類の冠をかぶせ
あえて悪魔的な「翼」を描いた。
もうひとつ
最近はこちらの方が「当たり」かと思っていますが
元々は普通の二人の天使像だったが
誰かが ・・・ あるいはその同一人物が
冠を描き足し 白い翼を黒いサタンのような翼に塗り変えた。
理由は何か神の存在を否定したくなるような
非常に理不尽な悲しい目にあったから・・・
そう考えると この絵はなんだかちょっと怖い絵なのです。
いばらの冠のイエスと
真珠の王冠の聖母マリア
聖母子は実は悪魔と同じだ・・・! という信仰の全否定が垣間見られるのです。
でも
とても人を惹きつける絵です。
決して見る者と目を合わせない黒い翼の天使
いったい何を嘆いているのでしょうか。
★「羊飼いの礼拝」部分 二人の天使像 sold ありがとうございました。
「黒い翼の天使」の謎
きちんと研究していらっしゃる方から、貴重な「出生」情報をいただきました!
この天使たちは
15世紀フランドルの画家ヒューホー・ファン・デル・フースが
イタリアのポルティナーリ家の注文により描いた三連祭壇画
《羊飼いの礼拝》の一部の天使だそうです。
キリスト出生の場面で 悲しい場面ではないので、おそらく天使の翼の色は
もとは青みがかっていたものが変色したのかも
(あるいは模写した画家が変更したのかも)しれないとのこと。
美術史上も非常に重要な作品で、現在、フィレンツェのウフィツィ美術館にあるそうです。
こちらが「羊飼いの礼拝」の青衣の天使が登場している部分です。
また、「主観的な感想ですが」との前置きで 次のようにも。
あとで考えていたのですが、二人の天使がどこか物憂げなのは、
幼子のキリスト像が来るべき受難を予知させるというメッセージがあるからかもしれませんね。
よく、聖母子像で、聖母が悲しげな表情をして腕に幼子を抱いているのには、
こうした予表が込められていると言われています。・・・・
聞けば聞くほど「なるほど・・・」と感動する店主です。
緻密な中世の祭壇画。
一部分が切り取られていることで 見る者に様々な想像の幅を持たせてくれるんですね。
改めて古い祭壇画の魅力に触れることができました。
Mさま 本当にありがとうございました。
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at 2014-09-19 23:22
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented
at 2014-09-20 07:24
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented
by
ruriiro_ameri at 2014-09-20 10:35
鍵コメK.Mさま K.Kさま
ありがとうございます。
後ほどメールをお送りいたしますのでお待ちくださいね。
ありがとうございます。
後ほどメールをお送りいたしますのでお待ちくださいね。
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by ruriiro_ameri
| 2014-09-19 22:00
| なんとなく
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Comments(3)