人気ブログランキング | 話題のタグを見る

推理

推理_b0283437_1962066.jpg


先日の顔と手足だけのイコンもミステリアスでしたが
毎晩店主が眺めては どうなんだろうなぁ 思う絵がこれです。
(ベッドの横に置いてあるので必ず寝る前に見てしまう)

ぱっと目に飛び込んでくるのは、修道僧のような緑がかった青い衣。
推理_b0283437_19203771.jpg


二人の悲しげな表情の天使たち・・・
推理_b0283437_19204975.jpg


でも 次の瞬間 あれ? と思うのが「黒い翼」です。
しかもこの翼、羽根ではないように見えます。
まるでコウモリの翼のようにさえ見えます。

さらによく目をこらして見ると
この二人の頭の部分。
右の天使には真珠の王冠が
推理_b0283437_1921635.jpg


左の天使にはなんといばらの冠らしき物が・・・
推理_b0283437_19211662.jpg



まず考えられるのは
この画家が何か特別な意図を持って
イエスとマリアの象徴として二種類の冠をかぶせ
あえて悪魔的な「翼」を描いた。

もうひとつ
最近はこちらの方が「当たり」かと思っていますが
元々は普通の二人の天使像だったが
誰かが ・・・ あるいはその同一人物が
冠を描き足し 白い翼を黒いサタンのような翼に塗り変えた。

理由は何か神の存在を否定したくなるような
非常に理不尽な悲しい目にあったから・・・

そう考えると この絵はなんだかちょっと怖い絵なのです。

いばらの冠のイエスと
真珠の王冠の聖母マリア
聖母子は実は悪魔と同じだ・・・! という信仰の全否定が垣間見られるのです。

でも
とても人を惹きつける絵です。

決して見る者と目を合わせない黒い翼の天使
いったい何を嘆いているのでしょうか。

★「羊飼いの礼拝」部分 二人の天使像 sold ありがとうございました。



「黒い翼の天使」の謎

きちんと研究していらっしゃる方から、貴重な「出生」情報をいただきました!

この天使たちは
15世紀フランドルの画家ヒューホー・ファン・デル・フースが
イタリアのポルティナーリ家の注文により描いた三連祭壇画
《羊飼いの礼拝》の一部の天使だそうです。
キリスト出生の場面で 悲しい場面ではないので、おそらく天使の翼の色は
もとは青みがかっていたものが変色したのかも
(あるいは模写した画家が変更したのかも)しれないとのこと。
美術史上も非常に重要な作品で、現在、フィレンツェのウフィツィ美術館にあるそうです。


こちらが「羊飼いの礼拝」の青衣の天使が登場している部分です。
推理_b0283437_1517335.jpg



また、「主観的な感想ですが」との前置きで 次のようにも。

あとで考えていたのですが、二人の天使がどこか物憂げなのは、
幼子のキリスト像が来るべき受難を予知させるというメッセージがあるからかもしれませんね。
よく、聖母子像で、聖母が悲しげな表情をして腕に幼子を抱いているのには、
こうした予表が込められていると言われています。・・・・

聞けば聞くほど「なるほど・・・」と感動する店主です。

緻密な中世の祭壇画。
一部分が切り取られていることで 見る者に様々な想像の幅を持たせてくれるんですね。
改めて古い祭壇画の魅力に触れることができました。

Mさま 本当にありがとうございました。
Commented at 2014-09-19 23:22 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2014-09-20 07:24 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ruriiro_ameri at 2014-09-20 10:35
鍵コメK.Mさま K.Kさま
ありがとうございます。
後ほどメールをお送りいたしますのでお待ちくださいね。
by ruriiro_ameri | 2014-09-19 22:00 | なんとなく | Trackback | Comments(3)

普段着の古物とシネマな日々


by ruriiro_ameri
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31