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孫を待つおばあちゃんの大皿

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「さあ帰ろう、ペダルをこいで」は2008年のブルガリア映画。
冷戦時代、といってもほんの30年くらい前のヨーロッパ。
ソ連の圧力に従属せざるを得なかった当時のブルガリアで生まれ、
両親と母方の祖父母の愛情に包まれて育った1人の少年がいました。
おじいちゃんはバックギャモンの名人。
決してお金をかけたりせず、「名誉」の為だけに勝負します。
少年もバックギャモンが大好きでした。

しかし少年はやがて両親の亡命と共に
時代の波に飲み込まれるように自分を見失っていきました。
そして25年ぶりの帰郷の日、
交通事故によって両親の命と 自らの過去の記憶を失ってしまいます。

病院のベッドから動こうとしない青年に
「さあ お前の家に帰るんだ」
おじいちゃんは自転車でドイツからブルガリアへ帰ることを命じます。

ヨーロッパの路に自転車はよく似合います。
亡命の路は暗くて恐ろしかったけれど
家に帰るその路は明るい日差しに溢れていました。 

「人生はサイコロと同じ。
どんな目が出るか、それは時の運と、自分の才覚次第」

サイコロを振るのは自分。
自分の未来は 自分で切り拓くもの・・・。

孫を愛し 心配し 思いやる祖父母の姿に胸を打たれます。
孫が生まれ、受洗したお祝いの日
テーブルには大きなお皿に盛られたおばあちゃんの手づくりのお菓子が並びました。

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この飾り気のない 大きなお皿を見ると
孫のために一日台所に立つおばあちゃんが思い浮かびます。

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すっかり象牙色に染まって 貫入もばりばりですが
大事に大事に使われたのでヒビもカケもない
つやつやとしたとても優しい表情の大皿です。
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★sold
by ruriiro_ameri | 2013-07-01 21:30 | 異国の古物 | Trackback | Comments(0)

普段着の古物とシネマな日々


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