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「スクール・デイズ」2011年のアメリカ映画。
原題は「That's What I Am」
原作はロバート・ブラウン・パーカー、2005年発表の小説です。

1965年のカリフォルニア州が舞台です。
「今のところは」「なんとなく」将来は作家になりたいと思っているアンディ。
悪い人じゃないけどちょっと細かいこと言い過ぎのお父さん
頭が良くて穏やかで心の広いお母さんと暮らし、
新聞配達のバイトでは憧れの彼女の家も回れるし
担任の先生はいい先生だし
まずは平穏なミドルスクールでのスクール・デイズを送っています。

でも・・・残念ながらいつの時代も、どこの国でもいじめってあるんですよね。
すごく背が高くて赤毛で、コミック誌から抜け出てきたような風貌のスタンリーは
非常に頭が良く、どんな時にも冷静で知的な少年。
ところが同級生たちからは”ビッグG”などと呼ばれて、いつもいじめられていました。

クラス担任のサイモン先生は、いつも蝶ネクタイにジャケット
授業は面白くて、すべての生徒に対して同等に接し、
すべての生徒たちの声に耳を傾けてくれる先生です。
ある日、先生はクラス全体に
「誰かとチームを組んである課題に挑戦する」というミッションを与えます。
そしてアンディは、なんと”ビッグG”と組むことに・・・
「なんで僕が」とふくれっ面のアンディはサイモン先生に訴えます。
先生は「理由があるんだよ」と、逆にアンディを励まします。

スタンリーはすごく頭がいいし、
大柄だからいじめられても本気で反撃すればいじめっ子は黙るはずなのに
どんなにひどいことをされても絶対に反撃しません。
それは もし自分がいじめのターゲットから外れたら他の誰かがいじめられるから。
彼はそんなことまで知っていたのです。
アンディは、そんなスタンリーと、ごく自然に友情を築いていきます。

ところがしばらくして、サイモン先生がゲイではないかという噂が学校中に・・・
いじめっ子の父親はモンスターピアレント
校長先生(「フィールド・オブ・ドリームス」の奥さん役の女優さんです)に詰め寄り
真相を確かめるよう詰め寄ります。
仕方なく校長先生はサイモン先生に状況を打ち明け、
はっきり否定してくれればそれでいいのよ と説得しようとします。
しかしサイモン先生の答えは「NO」ではありませんでした・・・
「なぜ? どうして否定しないの?」
見ている方も焦りますが(笑)、それにはやはり理由があったのです。

「世界を救う方法を25単語以内で書く」
という新聞の懸賞に応募したサイモン先生が使ったのは、
たった4つの単語でした。
Human Dignity + Compassion = PEACE
人としての尊厳+思いやり=平和
人としての尊厳 は つまりは他者への敬意という意味です。
自分とは違う誰かに対して きちんと敬意を示し、偏見を持たないこと。
そして小学生でもわかること。「思いやり」
自分がされて嫌なことは人にしない
自分がして欲しいことは人にもしてあげる。

スタンリーとサイモン先生がどんな状況になっても決して妥協せず曲げなかった信念が
この言葉の向こう側に映し出されています。

サイモン先生は、近い将来 世界がどんな風に変わっていくかは分からないけれど
生徒たちがどんな人を愛し、どんな人生を選び取るか
その選択肢に決して偏見や偏った価値観を押し付けてはいけないと思っていたのです。
もし 自分が「ゲイ(なんか)じゃない」と言えば
それは同性愛者があたかも「悪」である、と自分が言っていることになる
そういう信念があったに違いありません。

スタンリーと親友になったアンディに、サイモン先生は言います。
「アンディ、君には正しい選択をして欲しかった。そして君は正しい選択をしたんだよ」

ウィリアム・シェイクスピアの作品のひとつである『ハムレット』のなかで、
ハムレット王子は『Life is a series of choices.(人生は選択の連続である)』と言いますが
本当に選択と出逢いの積み重ねが その人の人生を作る と言えるでしょう。
その時 その時に 正しい道を選ぶことの大切さ
そしてそれを教えてくれる人との出逢いの大切さを
改めて教えられる素敵な作品です。
未見の方はぜひご覧ください。

と言うわけで・・・
人生の中では大きな「選択の時」が何度か訪れるわけですが、
やっぱり「結婚」もその一つですね。



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これはグローブ・ド・マリエ(マリアージュ)と呼ばれるもので
かなり大きなサイズです。(ガラスドーム だけで高さが42センチほどあります。)


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結婚式に使われたティアラやブーケをクッション台に固定して、
ガラスドームをかぶせて密封するもの。
(裕福な家庭の)親族がお祝いに贈るのが普通だったようです。
運命の選択の記念品が、こういう形で残されるのが良いやら悪いやら・・・?
・・・数十年後にわかるんですね これが・・・


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クッションは台座にしっかり固定されていて外せません。


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真紅の天鵞絨貼りで、取り付けられていた物はありません。
取り付けの金具などで傷付いたと見られる小さな穴やスレが見られます。


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蔦の葉や鳥のオブジェなどのオルモルは変色も少なく綺麗です。
お気に入りのティアラやレースなどありましたら取り付けてお楽しみください。
古い時代の「足」付きの台です。
大きなガラスドームにヒビなどはありません。

ナポレオン・トロワ
大きなグローブ・ド・マリエ ガラスドーム
SOLD



# by ruriiro_ameri | 2024-01-08 22:00 | 映画とアンティーク | Trackback | Comments(0)
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クローゼットの奥の奥に
38年前に買ったこんな本が!


はい
これまで何度も「もう捨てたら?」と言われ続け
それでもこっそり持ち続けた写真集。

1985年 アナログ時代
写真はフィルム ナイトゲームの照明にLEDはまだありません。


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当時の吉田監督


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神様仏様バース様

将棋とうどんが好きでした。


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今年、チームを38年ぶりの日本一に導いた岡田監督
当時まだ20代!



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阪神タイガースへの応援はずっと変わらず・・・笑

しばし懐かしさで口元を緩めつつ
ついついページをめくった店主でした。

懐かしい といえば

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覚えてますか?

アンティークにも「ブーム」があるようで
アンティークファンなら 一度はこれ、
買おうかと思ったのではないでしょうか?

今のようなオフセット印刷が一般化する前の活版印刷の時代
金属のハンコのような「活字」を入れたトレイです。


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たくさん必要なので抽斗の形態をとっていました。
このトレイも引き出すためのつまみがかつてはついていたようです。
アルファベットが書かれたラベルも・・・



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今はそれらも失われていますが
古い木のアナログ感 人間味のある温もりの名残が感じられる
と思うのは・・店主の歳のせいでしょうか。



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裏から打たれた釘の影響で、一箇所亀裂があります。
強度への影響はありません。


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1930年頃のフランスのプリンタートレイ
50センチ×36センチ  厚み3.5センチ
8,900円




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で、今年はこちらを購入!

・・・さて 次回は・・・
(多分”空の上”から胴上げを見るかな)



# by ruriiro_ameri | 2023-11-11 22:00 | 異国の古物 | Trackback | Comments(0)
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店主、邦画でもう一度見たいと思う作品はあまり無いのですが
この「歩いても 歩いても」(2008年)はまた見たいと思いました。
今の年齢になって、1度目にはピンとこなかったのに
今ならすごくわかるなぁ・・・というシーンがいくつもあって面白いのです。
(作品公開からちょうど15年。樹木希林さん、原田芳雄さん、加藤治子さんが故人となられ寂しい限りです・・)

町医者をリタイアした無口+頑固な父親(原田芳雄)と
料理上手でおしゃべり好きな母親(樹木希林)が暮らす海辺の街。
子連れの女性と結婚したばかりの息子(阿部 寛)は、
妻と継子を連れてその言葉の端々に父親に対する反感を滲ませつつも
海で事故死した兄の15回目の命日に帰郷します。
自分よりもずっと頭が良くて 父親からは「後継ぎ」として
母親からは溢れんばかりの愛情を注がれていた兄。
いつも比べられてばかりだった自分・・・
屈折した彼の心は、いいトシした大人になっても
両親の一言一言に過剰に反応してしまいます。


樹木希林さんが演じるのは、家事一切をまめに取り仕切る
気のいい初老の母親のステレオタイプ。
同じく陽気で家族の間の会話や気詰まりを うまくとり持つ長女。
子連れ再婚という自分の立ち位置を、夫の両親は認めてはいないはず、という
強い劣等感を抱えながらも、家族のシガラミに従順に従おうとする嫁。

初めのうちは それぞれ良くあるわけありの
でも家族だからしょうがないね! 程度の家族劇が進みます。
ほのぼの系の映画かな?と 思わせられますが
笑顔を絶やさずいろいろ気配りしてくれる、孫の面倒見もいい母親が
時折出す「毒」が見えはじめます・・・。

まず印象的だったのは 墓参りに行って 誰かが手向けてくれたひまわりの花を
こんなもの 邪魔だといわんばかりにさっさと引き抜き
(誰が生けてくれたのかしら と感謝もせず)
帰り道で見つけた他人のお墓の花瓶に放り込むシーンでした。

一方 父親は自分の後継ぎを不慮の事故で失ってから15年も経つというのに
今だに「医者はいいぞ〜」「あいつ(長男)は後継者(あととり)だったんだ」・・・
とぼやき続けています。
洋の東西を問わず 医者はかならずと言っていいほど 子供を医者にしたがります。
(あ 政治家もそうですね。世襲のバカ議員ばかり)
医者になる程頭のいい人が
親は親 子には子の人生がある とは考えないのはなぜなんでしょうね。

「連れ子」の少年がひとり
夜空に向かって亡くなった父親に宣言するシーンが好きです。
そうだよ 自分で決めた自分の人生を 自分の足で歩いて行くんだよ!
と応援したくなります。

長女は「賑やかに孫の顔を見せに行ってあげるのが1番の親孝行ヨ」と公言しますが
体力が落ちつつある親にすれば、来てくれないと寂しいが 帰るとホッとするのが本心。
実の母親を乳母兼家政婦がわりにする娘さんも多くなりましたが。

温かく 甘えに満ち、そして毒を孕み、非常に煩わしい・・・
それが家族というものなのです。

作品のはじめの方で、元医者の父親が
お向かいの老婦人(加藤治子さん)と会話するシーンがあります。
ずっと「お世話になった先生に 最後は脈を取ってほしい・・」と彼女は言いますが
現実は救急車で運ばれて行き、父親は何もすることができません。
「ジギタリスは飲むように言っといたんだが」それだけ言うのがやっとでした。

ジギタリスは心臓病に使われるお薬ですが、猛毒でもあります。
家族というものも、このジギタリスのようなものなのかもしれません。
痛みや苦しみを癒す薬であると同時に、毒でもあるのです。
毒の苦味も味わい、納得しながら、
自分の元居た家族のことを 今居る家族に伝えて
そして人生は続いて行きます。

タイトルの「歩いても 歩いても」は
1968年の大ヒット曲 「ブルーライト横浜」のサビの部分の歌詞。
歩いても 歩いても これ!と言う答えは見出せない。
「小舟のように」揺れ動く心・・・ を歌います。



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この小舟のような2枚のラヴィエの絵柄は
ワイルドローズにツバメが一羽きり。


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もう一枚にはなぜかツバメの姿がありません。

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鳥は複数で描かれるのが多いのに珍しいですね。


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真っ白なポーセリン製 金彩もほとんど綺麗に残っていて美しいセットです。
ツバメのいない方のお皿に一箇所 アタリによるカケ、短いラインがあります。


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窯名不明
金で数字が書かれていますが、何を示すものかはよくわかりません。
27.5センチ×16センチ 大きめのラヴィエ


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ワイルドローズとツバメのラヴィエ 2枚組
セットで5,900円




# by ruriiro_ameri | 2023-11-04 22:00 | 異国の古物 | Trackback | Comments(0)

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